ファームウェア更新

ファームウェア更新

1. 機能概要

本製品はプログラム不具合の吸収や機能追加を行うために、以下の3つのファームウェア更新機能を提供します。

  1. PCなどのリモート端末に置かれた更新ファームウェアを本製品に送付して適用する機能

  2. 本製品のHTTPクライアントがHTTPサーバにアクセスし、最新のファームウェアをダウンロードして適用する機能

  3. SDカードに置かれた更新ファームウェアを本製品に適用する機能

本更新機能を利用して、バージョンアップ、及び、バージョンダウンを行うことができます。
ファームウェア更新中は、LED表示モードの設定に関係なく、 全ポートLEDを緑色で点滅 します

スタック構成時は、スタックメインとスタックメンバー同時に更新ファームウェアの書き込みをします。
更新ファームウェアの書き込みが正常に完了すると、 新しいファームウェアを有効にするため、システムを自動で再起動 します。
再起動の指定方法については 書き込み後の再起動 を参照ください。

2. 用語の定義

特になし

3. 機能詳細

3.1. 更新ファームウェア送付による更新

PCなどのリモート端末に置かれたファームウェアを本製品に送付し、起動ファームウェアとして適用させます。
本更新は、 tftpクライアント または Web GUI を使用して行います。

3.1.1. tftpクライアントを使用したファームウェア更新

PCなどのリモート端末にインストールされた tftpクライアント を使用して、本製品に更新ファームウェアを送付し、更新することができます。
本製品のtftpサーバーを機能させるために、以下の手順でリモートアクセス可能なネットワーク環境を整備してください。

  1. 保守に使用するVLANを決めます。

  2. 保守VLANにIPv4アドレスを設定します。設定には、 ip address コマンドを使用します。

  3. 保守VLANからtftpサーバーへのアクセスを許可します。設定には、 tftp-server interface コマンド、もしくは management interface コマンドを使用します。

  4. tftpサーバーを有効にします。設定には、 tftp-server enable コマンドを使用します。

tftpクライアントを使用して更新ファームウェアを送信する際は、以下のルールに従ってください。

  • 転送モードには、 バイナリモード を指定してください。

  • 更新ファームウェアの送信先のリモートパスは下表を参照し指定してください。

  • リモートパスの後ろに"/PASSWORD"という形式で管理パスワードを指定してください。
    ただし、管理パスワードが初期設定の状態ではファームウェア更新を受け付けることはできません。前もって管理パスワードを変更する必要があります。

tftpクライアントを使用するファームウェア更新では、以下3種類の更新が行えます。

  • 更新ファームウェア

    種類 リモートパス

    本体ファームウェア

    exec

送付した更新ファームウェアに問題がなければ、更新ファームウェアの書き込みを行います。

3.1.2. Web GUI ローカルファイル指定によるファームウェア更新

Web GUIアクセス中の端末に置かれた更新ファームウェアを指定して、本製品に適用させます。
本機能では、新旧バージョンの確認は行わず、指定ファイルを強制的に書き換えます。

ローカルファイル指定によるファームウェアの更新は、Web GUI の [保守] - [ファームウェアの更新] のPCからファームウェアを更新 から行います。(下図の赤枠参照)
具体的な操作方法は、GUI内のヘルプを参照ください。

  • Web GUI PCからファームウェアを更新 初期画面
    image

3.2. HTTPクライアントを使用した更新

HTTPクライアントを使用したファームウェア更新は、指定したURLから更新ファームウェアを取得し、本製品に適用します。
本機能はバージョンアップが前提で、リビジョンダウン許可中に限り、現バージョン以前のものを書き込むことを許可します。
同バージョンのファームウェアは書き込むことができません。
スタックが有効の場合、本機能は利用できません。
HTTPクライアントを使用したファームウェア更新は、以下の方法で実行することができます。

  • CLI (Command-line interface) から firmware-update コマンドを使用する

  • Web GUI の ネットワーク経由でファームウェアを更新 を実行する

HTTPクライアントを使用したファームウェア更新は、下表の設定値に従って、動作します。

設定パラメータ 説 明

ダウンロード先のURL

ファームウェアのダウンロード先URLを設定します。URLは最大255文字まで設定することができます。
入力形式は“ http://サーバーのIPv4/IPv6アドレスあるいはホスト名/パス名”という形式となります。
IPv6アドレスの場合は"[IPv6アドレス]"のように"[]"で囲う必要があります。
サーバーのポート番号が 80 以外の場合は、“ http://サーバーの IP アドレスあるいは ホスト名:ポート番号/パス名”という形式で、URL の中に指定する必要があります。
初期値は、以下に設定されています。
http://www.rtpro.yamaha.co.jp/firmware/revision-up/swx2310p.bin

プロキシーサーバーのURL

ファームウェア更新で使用するプロキシーサーバーを設定します。
IPv4/IPv6アドレスまたはFQDNで指定します。FQDNの場合は最大255文字まで設定することができます。
初期設定では、プロキシーサーバーの設定はありません。
入力形式は“プロキシーサーバーのIPv4/IPv6アドレスあるいは http://ホスト名/パス名 ポート番号”という形式となります。
IPv6アドレスの場合は"[IPv6アドレス]"のように"[]"で囲う必要があります。

リビジョンダウンの許可

ファーム更新動作において、現在のバージョンより小さいバージョンの書き込みを許可するかどうかを設定します。
初期設定では、”許可しない” に設定されています。
なお、現在と同じバージョンの書き込みは許可しません。

タイムアウト

以下の処理を行う際の処理完了を監視するためのタイマーを指定します。
* 新旧ファームウェアのバージョンチェック
* 指定URLからのダウンロード
監視タイマーは、 100秒 ~ 86,400秒 で指定可能で、初期設定は 300秒 に設定されています。

firmware-update コマンドの使用方法は、 "コマンド実行例" または "コマンドリファレンス" を参照願います。
Web GUI の ネットワーク経由でファームウェアを更新 は、Web GUI の [保守] - [ファームウェアの更新] から実行します。(下図の赤枠参照)
具体的な操作方法は、GUI内のヘルプを参照ください。

  • Web GUI ネットワーク経由でファームウェアを更新 初期画面
    image

3.3. SDカードを使用した更新

本体に挿入したSDカード内に置かれたファームウェアを更新ファームウェアとして適用させます。
本更新は、CLI (Command-line interface) から firmware-update sd execute コマンドを使用して行います。
スタック構成の場合は、スタックメインからのみコマンドが使用できます。
ファーム更新確認の入力後はSDカードを抜いても更新を継続します。コマンド実行時にSDカードのアンマウントを行うには、SDカードのマウント状態継続の確認で "N" を入力するか、コマンドで "sd-unmount" オプションを指定してください。
SDカードを本体に挿入したままの状態で再起動した際は boot prioritize sd コマンドの指定に従いSDカード内のファームウェアから起動されます。

  • SDカード内のファイルパス
    /swx2310p/firmware/swx2310p.bin

3.4. 書き込み後の再起動

更新ファームウェアの書き込みが正常に完了すると、自動で再起動します。
firmware-update execute コマンドや、 firmware-update sd execute コマンドに"no-reboot"オプションが指定されている場合は再起動しません。
no-rebootオプションが指定されておらず、 firmware-update reload-time コマンドが設定されていた場合、再起動時刻設定に従い再起動します。
次回起動時のリビジョンは show firmware-update コマンドで確認することができます。

スタック構成時は firmware-update reload-method コマンドにより、ファームウェア更新方法を選択できます。

  • 構成中のメンバースイッチを同時に更新する方法

  • ネットワークサービスの停止なしに更新する方法

ファームウェア更新方法の動作概要については スタック 公開技術資料のファームウェア更新 を参照ください。

4. 関連コマンド

関連コマンドについて、以下に示します。
詳細は、コマンドリファレンスを参照願います。

操作項目 操作コマンド

ファームウェア更新サイトの設定

firmware-update url

プロキシーサーバーの設定

firmware-update http-proxy

ファームウェア更新の実行

firmware-update execute

ファームウェアダウンロードタイムアウト時間の設定

firmware-update timeout

リビジョンダウンの許可

firmware-update revision-down

ファームウェア更新機能設定の表示

show firmware-update

SDカードからのファームウェア更新の実行

firmware-update sd execute

ファームウェア更新の再起動時刻の設定

firmware-update reload-time

スタック構成時のファームウェア更新の再起動方法の設定

firmware-update reload-method

5. コマンド実行例

5.1. HTTPクライアントを使用した更新

ローカルのHTTPサーバーに更新ファームウェアを置き、本製品のファームウェアを管理するようにして、ファームウェア更新を行います。

  • ダウンロードのURLを http://192.168.100.1/swx2310p.bin に変更します。

  • リビジョンダウンは、 無効 のままとします。

  • タイムアウト値は、 300秒 のままとします。

  • 再起動時刻の設定を行わず、 更新直後の再起動 とします。

    1. ダウンロードURLを変更し、ファームウェア更新の設定を確認します。

          Yamaha(config)#firmware-update url http://192.168.100.1/swx3210p.bin (1)
          Yamaha(config)#exit
          Yamaha#show firmware-update (2)
          url:http://192.168.100.1/swx2310p.bin
          http-proxy: -
          timeout: 300 (seconds)
          revision-down: Disable
          firmware revision for next boot: -
          reload-time: -
          reload-method: Normal
      1 ダウンロード先URLの設定
      2 ファームウェア更新機能設定の表示
    2. ファームウェア更新を実行します。

          Yamaha#firmware-update execute (1)
          Found the new revision firmware
          Current Revision: Rev.2.02.01
          New Revision:     Rev.2.02.03
          Downloading...
          Update to this firmware? (y/n)y (2)
          Updating...
          Finish
      
          (3)
      1 ファームウェア更新の実行
      2 yを入力
      3 自動でリブートします
    3. 更新ファームウェアのダウンロード中に、 "CTRL+C" で中断することができます。

          Yamaha#firmware-update execute
          Found the new revision firmware
          Current Revision: Rev.2.02.01
          New Revision:     Rev.2.02.03
          Downloading... (1)
          ^CCanceled the firmware download
      1 Ctrl-C を入力

5.2. HTTPクライアントを使用した更新(プロキシー環境下)

プロキシーサーバーを指定し、ファームウェア更新を行います。

  • ダウンロードのURLは 初期設定 のままとします。

  • プロキシーサーバーの設定は http://192.168.100.1:8080 とします。

  • リビジョンダウンは、 無効 のままとします。

  • タイムアウト値は、 300秒 のままとします。

  • 再起動時刻の設定を行わず、 更新直後の再起動 とします。

    1. HTTPプロキシーを設定し、ファームウェア更新の設定を確認します。

          Yamaha(config)#firmware-update http-proxy http://192.168.100.1 8080 (1)
          Yamaha(config)#exit
          Yamaha#show firmware-update (2)
          url: http://www.rtpro.yamaha.co.jp/firmware/revision-up/swx3220.bin
          http-proxy: http://192.168.100.1:8080
          timeout: 300 (seconds)
          revision-down: Disable
          firmware revision for next boot: -
          reload-time: -
          reload-method: Normal
      1 HTTPプロキシーの設定
      2 ファームウェア更新機能設定の表示
    2. ファームウェア更新を実行します。

          Yamaha#firmware-update execute (1)
          Found the new revision firmware
          Current Revision: Rev.2.02.01
          New Revision:     Rev.2.02.03
          Downloading...
          Update to this firmware? (y/n)y (2)
          Updating...
          Finish
      
          (3)
      1 ファームウェア更新の実行
      2 yを入力
      3 自動でリブートします

5.3. SDカードを使用した更新

本体に挿入したSDカード内に更新ファームウェアを置き、本製品のファームウェアを管理するようにして、ファームウェア更新を行います。
2台スタック構成での実行例です。

  • 再起動時刻を、 23:30 に変更します。

  • 再起動方法を、スタックメイン・メンバー 順次再起動 に変更します。

    1. 再起動時刻と再起動方法を変更します。

          Yamaha(config)#firmware-update reload-time 23 30 (1)
          Yamaha(config)#firmware-update reload-method sequential (2)
          Yamaha(config)#exit
      1 再起動時刻の設定
      2 再起動方法の設定
    2. スタックメインにSDカードを挿入しファームウェア更新を実行します。

          Yamaha#firmware-update sd execute (1)
          Update the firmware.
          Current Revision: Rev.2.02.01
          New Revision:     Rev.2.02.03
      
          Update to this firmware? (y/n)y (2)
          Continue without unmounting the SD card? (y/n)n (3)
          Unmounted the SD card.  Pull out the SD card.
          Updating...
          Finish
          Yamaha#
          (指定した再起動時刻にリブートします)
      1 ファームウェア更新の実行
      2 yを入力
      3 nを入力
    3. スタックメンバーは、スタックメインと同時にファーム更新、スタックメイン再起動後にリブートします。
      スタックメンバーのコンソールには次のログが表示されます。

          (スタックメインのENTER入力後、ファームウェアを受け取り更新開始します)
          Receiving exec file...
          Testing received file...
          Writing to Nonvolatile memory...
          Done.
      
          (スタックメインの再起動を待ちリブートします)
    4. 更新ファームウェアのバージョン確認後に、"n" を入力することで中断することができます。

          Yamaha#firmware-update sd execute (1)
          Update the firmware.
          Current Revision: Rev.2.02.01
          New Revision:     Rev.2.02.03
      
          Update to this firmware? (y/n)n (2)
          Yamaha#
      1 ファームウェア更新の実行
      2 nを入力

6. 注意事項

ファームウェア更新中に再起動や電源OFFをすると、更新が中断され更新操作前のファームウェアで起動します。